『ゴーストヘッド ~ 熱狂的ファンたちの今』
Ghostheads
2016・米
ブレンダン・マーテンズ
IMDb 6.1
Rotten Tomatoes Not Available
あらすじ:いつまでもゴーストバスターズが大好きです。
リブート作の予習のためにNetflixで鑑賞。
ザックリと感情を
ゴーストバスターズのファンたち、通称ゴーストヘッズの今を追ったドキュメンタリー。
作品の影響や、ファンたちの姿を描くというより、かなり個人にスポットを当てたドキュメンタリーでした。
元作のスタッフ・キャストや、リブート作の監督もインタビューに登場。2016年版の資料としてもいい教材です。
メインの登場人物を追いかけながら、アメリカを始め世界中にいるファンのつながりが見えてきて、
とはいえ後ろ向きなことは全然なくて、世界中のゴーストヘッズネットワークや、いろいろなイベントに参加したり、カップルが出来たりと海外オタクらしいアクティブな感じ。
アイヴァン・ライトマンやダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、シガニー・ウィーバー、ハロルド・ライミスの娘、リブート作のポール・フェイグがインタビューに登場。
例のツナギを着てプロトンパックを背負ったファンたち。普段の生活や、いかにして活動をはじめたかに迫る。
さまざまなファンたちが登場するなか、一番の主役となるトム(Tom Gebhardt)を中心に話が進んでいく。
仕事よりも週末にツナギを着こんでイベントに出るときが本当の自分だという筋金入りのファン。彼の並々ならぬ思い入れについて語られる。
ゴーストヘッズとそのほかの作品のファンとの違いは、一員になれるかどうかだ。
ジェダイやストームトルーパーの格好をしていても、それは作中の人物を模しているだけで、ただのコスプレでしかない。
しかし、ゴーストヘッズは、ゴーストバスターズの一員として、ツナギを着るのだ。映画に登場する服装と、ガジェットを身に着けていても、胸の名札には本名が入っている。トムの名札も常にGebhardtだ。
ピーターやレオモンド、イゴン、ウィンストンはあこがれの存在であると同時に、仲間なのだ。
そして、ゴーストヘッズの支部は世界中に存在する。時折、“仕事着”でイベントに参加して、チャリティー活動をしたり、小児病棟に見舞いに行ったりしている。彼らにとってゴーストヘッズであることは誇りなのだ。
ドキュメンタリーの構成としては、よく出来過ぎているタイプの作品。 撮る前から筋道が決まっていたように見える。
ファンの実情に迫り、新作の特別試写会で終わる。ドラマとして出来過ぎた流れだ。
それが意図通りに成功していて、退屈せずに見られる。 特にトムと古参ファンとの交流は、下手な映画よりもドラマチックに映されている。
ゴーストバスターズファンでなくても、 何かに熱中したことがある人にとっては、どこか郷愁を感じる作品になっている。
↓ネタバレ感想↓
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トムは、幼いころからのゴーストバスターズファン。リアルタイムの世代よりは若い。家でVHSをみたのが初鑑賞だ。
両親は留守がちで、余り相手をしてくれなかった。そんな時、祖父と一緒にゴーストバスターズを見たのが一番の思い出だと言う。
幼少期の再現場面は、手作り感あふれるアニメで描写される。それが妙にファンメイドっぽくでキュートに思える。
祖父が亡くなった今でも、ゴーストバスターズへの愛は消えず。ゴーストヘッズに所属し、足しげくイベントに通っている。
トムの仕事の場面が少しもの悲しげに見えた。
地方のピザショップの店員で、さまざまな雑用をこなしている。
「何でもこなす。人間の個性を失わせるための仕事」
流れ作業を生活のために就いていることがわかる。
「週末のイベントに参加しているときが本当の自分だ」
心理学者がコスプレ文化について語っている場面が挟まれる。
衣装に身を包むのは、自分以外の人間になるための行為。コスチュームの人物になって、強くなったように感じることができる。
ゴーストヘッズの場合は、劇中の人物ではなく一員になることによって強くなれる。そのためにツナギを着る。
ある女性は、アルコール依存症になった経験がある。
イベントに参加するようになってからは、禁酒も続き、恋人もできた。
さらには、恋人が、サプライズでプロポーズを受けて結婚を決める。
プロポーズの仕方もファンらしいもの。
彼女がリブート作の予告編を見始めると、アイヴァン・ライトマンが登場し、メッセージを送る。
「彼と残りの人生を一緒に過ごしてほしい」代理でのプロポーズ。
もちろん答えはYES
日にちも2016年2月14日なのもニクい。
彼女の人生はゴーストバスターズとともにある。
コスチュームに欠かせないのが、プロトンパック。
型取りして、パーツの装着まで一人でこなす職人が登場。
映画公開から今日まで注文は続いているらしい。
トムは、ニューヨークの消防署を訪れる。ヘッズにとっての聖地だ。
消防署の隊員も慣れた様子で感じよく写真撮影に応じてくれる。
しかも、新作の撮影スタッフに出会い。
新バージョンの車、エクトワンを見せてもらうことに。
もう一人の主役ともいえるピーター(peter mosen)
彼は、最古参のファンと言っていい。 エクトワンを自ら作り、イベントでコスプレをしていた。
ふっくらした顔立ちで、ダン・エイクロイドに似ていたことから、幼いトムはレイモンド本人だと思ったらしい。
数々のイベントに参加し、公認され、2のワンシーンに登場している。 ヘッズのなかで知らないものはいない。
そんなピーターも60歳を超えている。ゴーストバスターズに対する愛情は衰えていないものの体も弱ってイベントには出られない。 そんなピーターをトムが何度も尋ねて週末を過ごす。もちろんツナギを着て。
二人の姿はまるで親子のようだ。トムは亡くした祖父の面影をピーターの中に感じているのかもしれない。
イゴン役、ハロルド・ライミスの娘がインタビューに答えている。
いつまでも、父のことを忘れずにいてくれることに感謝していた。
その話の中で映されるファンのイラストが感動的だった。
イゴンはスライマーと一緒にいるよ。 というメッセージと共に紹介されるイラスト。RIP-Harold-Ramis
最後は、新作2016年版の特別試写会で終わる。
ゴーストヘッズが多数招待され、その中で記念の会員証をもらえる。
トムも晴れて公式で認められ、他のイベントにも顔をだすことになりそうだった。
まるで、ピーターの、祖父の意志を継いだかのようなドラマチックに幕を閉じる。